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淋病の症状と治療法

Gonorrhea

淋病(淋菌感染症)はどんな病気?
症状から検査・薬・治療法まで

「淋病」は正式名称を淋菌感染症といい、男性に多い性感染症です。女性が感染しても無症状のことが多いといわれ、感染していても気づかずにいる方も多くなっています。しかし、女性も治療せずに放置しておくと、不妊症や子宮外妊娠の原因にもなるなど、男女問わず適切な治療が不可欠な病気です。

このことから、淋病が疑われる症状が出た場合、速やかな治療が重要となります。そのためにも淋病の典型的な症状や感染経路、そして検査方法、治療薬などの知識をきちんと理解しておきましょう。

淋病(りんびょう/淋菌感染症)とは

淋病(りんびょう/淋菌感染症)とは?潜伏期間・症状・治療法

淋病(淋菌感染症)は、女性の場合はおりものが増えるといった症状が現れることがあります。しかし自覚症状がないことがほとんどで、感染に気付かない方も数多いのが特徴です。自覚症状がないからといって、感染を放置してしまうと、卵管炎や子宮内膜炎、腹膜炎などに悪化する危険性があります。さらに妊婦さんが淋菌に感染したまま出産すると、赤ちゃんにうつってしまう母子感染の可能性も否定できません

男性が淋菌に感染すると、排尿時の痛みを感じたり、尿道から白い膿(うみ)が出たりするなど、クラミジアに似た症状を発症します。しかし淋病はクラミジアよりも症状が強くなる傾向があり、さらに感染を放置してしまうと前立腺炎や精巣上体炎、無精子症になる危険性もあるため、注意が必要です。

淋病の原因

淋病は「淋菌」への感染で発症します。淋菌(Neisseria gonorrhoea)は弱い菌として知られ、感染した粘膜から離れると数時間で死滅する菌です。そのため、感染経路は限られており、淋菌に感染している部位との粘膜接触や分泌物との接触により、男性では主に尿道に、女性では子宮頸管(しきゅうけいかん)に感染します。

キスでもうつる?淋病の感染経路

淋病は感染率の高いことが知られているため、「性交渉がなくても感染するの?」と心配される方も少なくありません。基本的に、通常のキスやお風呂での感染はないといわれていますが、思いがけない感染を防ぐためにも、淋病の感染経路を知っておく必要があります。

淋病は性交渉により感染

感染経路は主に性交渉(セックス、オーラルセックス)です。淋菌は尿道や子宮頚管だけでなく、のどへの部位接触、目への分泌物接触でも感染します。1回の性行為における淋菌の感染率は約30%と高いため、誰でも発症する可能性のある病気です。

特に近年はオーラルセックスが原因で、のどへの感染が増加しています。淋病がのどに感染した場合、自覚症状が出にくく、それが感染をさらに拡大させている要因の一つといわれています。

感染者とキスした場合、通常のキスであれば感染リスクはそこまで高くないといわれています。しかし感染の可能性もないとは言い切れないため、症状が出ていたり治療中だったりする場合は、キスも避けておいたほうが良いでしょう。

参考:東京都感染症マニュアル|淋菌感染症

妊娠中の発症で母子感染の事例も

妊娠中の発症で母子感染の事例も

妊婦さんが淋菌に感染すると、分娩時の「産道感染」で母子感染の可能性があります。赤ちゃんに感染した場合、化膿性結膜炎や関節炎を発症するだけでなく、命にかかわる症状が出る可能性すらあるので、注意が必要です。

また妊婦さんが淋菌に感染し腟炎や頚管炎、子宮内膜炎などを発症すると、早産や低出生体重児、流産のリスクが高まるといわれています。

淋病の潜伏期間

淋病の潜伏期間は2日~7日程度です。男性の場合は潜伏期間後にすぐ症状が現れます。女性の場合は症状が出ないことが多いため、ご自身が淋菌に感染しているとは気づけない方、気づいてもいつ感染したのかわからない方が数多くいます。この潜伏期間中に、他の人にうつしてしまう人が多くいるといえるでしょう。

淋病の症状

淋病は主に性交渉で性器に感染することの多い病気ですが、男性と女性でその症状は異なります。また淋病は性器以外に、のどや目に感染する可能性がある感染症です。

女性(淋菌性子宮頚管炎)の場合

女性(淋菌性子宮頚管炎)の場合

女性の場合、性交渉で淋菌が子宮頚管に感染すると、「淋菌性子宮頚管炎」を発症します。「おりものが増える」「不正出血がある」「下腹部に痛みがある」などの症状が出ることがありますが、無症状のことも少なくなく、自分が淋病に感染していると気づけないことも多々あります。腟に淋菌が感染したときに現れる症状は下記です。

  • ・おりものの量が増える
  • ・緑黄の濃い色のおりものが出る
  • ・おりものの匂いが強くなる
  • ・不正出血がある
  • ・下腹部に痛みを感じる
  • ・排尿時に痛みを感じる
  • ・尿の回数が増える(頻尿)
  • ・性交時に痛みを感じる

男性(淋菌性尿道炎)の場合

男性の場合は淋菌が性交渉で尿道に感染し、「尿道炎」を発症することが一般的です。尿道の違和感やかゆみ、排尿時の痛みのほか、性器から膿が出るなどの症状が現れます。

同じ性感染症のクラミジアと似ていますが、症状はクラミジアよりも強く出る傾向にあります。ただし、無症状だったり、症状が出ても個人差があることも多いため、医師の診断が不可欠です。下記のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • ・尿道の違和感・かゆみを感じる
  • ・排尿時に激しい痛みがある
  • ・性器から黄白色で粘り気のある膿が出る
  • ・軽い発熱・痛みがある

のど(咽頭淋菌感染症)の場合(男女共通)

のどの淋病(咽頭淋菌感染症)は、淋菌に感染しているパートナーとのオーラルセックスにより感染することがほとんどです。のどの淋病にかかると、のどの腫れや痛み、せき、発熱など、風邪に似た症状が現れます。しかし、男女問わず症状が出ない方がほとんどです。また症状も風邪と似ているため、ご自身が咽頭淋病に感染していると気づかないことが多くなっています。

症状がないからといって、のどの淋病を治療しないままでいると、悪化して咽頭炎、扁桃腺炎などを発症する可能性もあるので注意が必要です。

  • ・のどに違和感・腫れ・痛みを感じる
  • ・せきが出る・発熱がある

目(淋菌性結膜炎)の場合(男女共通)

目の淋病(淋菌性結膜炎)は、母子感染が原因で新生児にもっとも起こりやすい性感染症です。また成人でも、感染部位や精液、膿などが目に触れると発症する可能性があります。

淋菌性結膜を発症すると、目が強く腫れたり大量の目ヤニが出たりします。また角膜に穴が開き、最悪のケースでは失明してしまう危険性もあるため、早期治療が欠かせません。淋菌性結膜炎の症状は下記です。

  • ・目・まぶたの裏が強く充血し腫れる
  • ・黄色の目ヤニ(膿性眼脂)が大量に出る
  • ・角膜に穴が開く
  • ・失明

淋病とクラミジアの違いは?

淋病とクラミジアの違いは?

淋病は、同じ性感染症であるクラミジアと症状がよく似ているため、症状だけでどちらに感染しているかを判断することが難しい病気です。共に症状が出ないことが珍しくない上に、淋病に感染している方の20~30%程度がクラミジアを合併しているとされているため、自分が感染しているかを確認するには、医療機関での検査・診断を行う必要があります。

女性で「最近おりものが多い」「下腹部が痛む」「排尿時に痛みを感じる」といった症状が出ている方や、男性で「尿道から膿が出る」という方、パートナーが淋病やクラミジアに感染している方は、必ず婦人科や性病科、泌尿器科などで検査しておきましょう。

参考:東京都感染症マニュアル|淋菌感染症

淋病を治さず放置はNG!必ず治療を

淋病は感染率が高く誰にでもかかる可能性が高い反面、症状が出ないことも多い病気です。そのため「みんな一度は感染する大したことのない病気」と勘違いし、治療せずに放置してしまう方もいます。

しかし、淋病は放置しておくと重症化し、子宮内膜炎や卵管炎、腹膜炎、前立腺炎、精巣上体炎など、より深刻な病気を発症する可能性のある、危険な病気です。また子宮内膜炎や精巣上体炎は、不妊症や無精子症の原因にもなります

症状が出た方やパートナーが感染してしまった方は、必ず病院で検査をし、医師による診断を受けましょう。また自覚症状がない方も「淋病は誰でもかかる可能性のある病気で、症状が出ないことが多い」と認識したうえで、日ごろから医療機関で検査することが大切です。

淋病(女性)の重症化リスク

女性が淋病(子宮頸管炎)を放置すると、以下のような重症化リスクがあります。また妊婦の方が感染したまま出産してしまうと、産道感染により新生児が淋菌性結膜炎を発症する可能性があるので、気になる症状がある場合は、検査・治療を行ってください。

  • ・子宮内膜炎
  • ・骨盤内感染症(卵管炎)
  • ・腹膜炎
  • ・肝周囲炎
  • ・不妊症

淋病(男性)の重症化リスク

男性が淋病(尿道炎)を放置すると、尿道内の淋菌が上部まで広がり、前立腺炎や精巣上体炎を発症するリスクが高まるので要注意です。睾丸の後ろの方にある「精巣上体」が炎症を起こす精巣上体炎は、時に歩行困難を起こすほど強い痛みを生じ、発熱や体の震え、白血球増多症など、全身性の炎症症状を伴う可能性もあります。

また最初は片側だけの症状となりますが、そのまま治療されなければ両側ともに起こします。両側の精巣上体炎は、治療したあとも無精子症を起こす可能性があり、不妊の一因となってしまうことも覚えておきましょう。

  • ・前立腺炎
  • ・精巣上体炎
  • ・無精子症

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淋病の検査方法

淋病の検査は尿や膿、デリケートゾーンの分泌液、うがい液などを採取して行います。新宿駅前婦人科クリニックでは症状が出ていない方の即日検査も可能ですので、お気軽に当クリニックまでご相談ください。

女性の淋病検査

腟の淋病検査の場合、分泌液を採取して検査を行います。のどや直腸などの淋病は、うがい液や患部周辺のぬぐい液を採取して検査します。

淋病の潜伏期間は2日~7日程度で、淋病検査を行うには、感染した可能性のある日から2~3日以上経過している必要があります。また、正確な検査が行えない可能性もあるので、生理中の検査は避けたほうがいいでしょう。

男性の淋病検査

男性の場合、尿道炎を発症している場合は尿や膿を採取して検査します。のどや直腸などの場合は、女性同様うがい液や患部周辺のぬぐい液を採取します。検査が可能となるのは、感染した可能性のある日から2~3日経過後です。

クラミジア検査も忘れずに

淋病に感染している場合は、クラミジアを併発している可能性が高くなります。淋病感染者の20~30%程度がクラミジアを併発しているとされているため、淋病の検査時には、合わせてクラミジア検査も受けると良いでしょう。新宿駅前婦人科クリニックでは淋病とクラミジアの即日検査も可能ですので、ご希望の方は診察時にお申し出ください。

淋病の薬・治療方法

検査で淋病の感染が確認された場合、抗生剤の服用や注射・点滴などで治療します。淋病は治療によって完治するので、検査結果で陽性が出たら、必ず治療を行ってください。

淋病の抗生物質(飲み薬)

治療には抗生物質が有効で、主に「セフトリアキソン」と「スペクチノマイシン」を併用します。ただ、近年は抗生剤の乱用が原因で、薬が効かないタイプ(スーパー淋菌)が増えているため、薬の処方・服用だけでなく医療機関での検診も不可欠です。

薬が効かないスーパー淋菌とは?

近年、抗生物質への耐性を持った淋菌である「スーパー淋菌」が増加しています。スーパー淋菌は、淋病治療の特効薬とされてきた「セフトリアキソン」への耐性も確認されており、薬を服用したのに淋病が治らない場合、この耐性菌への感染が疑われます。しかし、スーパー淋菌は「すべての抗生剤が効かない」ということではありません。淋病に効果的な抗生剤は複数あり、薬の内服以外にも点滴・筋肉注射で治療することが可能です。

淋病は完治する病気です。ただ、一度の治療で治らない可能性もあります。そのため「薬を飲んだかからもう病院に行かなくていい」と自己判断するのではなく、必ず「治療後に医療機関で再検査」を行ってください。

淋病の点滴治療

淋菌治療の抗生剤の点滴は、30分~1時間程度の時間を要しますが、1回の点滴で治療が終了することもあります。ただ淋病の場合、クラミジアなどの合併症を併発していることも多いため、点滴と合わせて内服薬が処方されることもあります。必ず、医師の処方に従ってください。

淋病の筋肉注射治療

抗生剤に耐性を持った淋菌に感染している場合は、抗生物質(スペクチノマイシン)を筋肉注射することもあります。筋肉注射の場合も、クラミジアなどの合併症を併発している際には、内服治療を併せて行います。

淋病が完治するまでの治療期間は?

淋病が完治するまでの治療期間は?

淋病は内服治療の場合は1週間前後、点滴や筋肉注射の場合は1~2回程度が目安となります。ただ、淋病は1回の治療で治ることもありますが、複数回の治療が必要な方も少なくなく、治療までの期間には個人差があります。

特に最近は抗生剤への耐性を持った淋菌が出現し、薬を服用したとしても完治しない例が増えています。一度の治療で「治った」と自己判断せず、必ず医療機関で治療後の再検査を行い、完治したかどうかの確認を行ってください。

淋病は再発する?

一度完治した淋病が「再発」することはありません。しかし、完治しても免疫は獲得できないため、淋病に「再感染」することはあります。特にパートナーがいる方は、ご自身だけでなく相手も淋病に感染している可能性が高いため、治療後にパートナーとの性交渉で再感染してしまう恐れがあります。

パートナー同士が相互に感染させあう事例を「ピンポン感染」とも呼びますが、性感染症はこのピンポン感染が非常に多いのが特徴です。淋病に限らず、性感染症が疑われる場合は必ずパートナーと一緒に医療機関で検査を受け、治療を行いましょう。

淋病は保険適用される?
検査・治療費用

淋病の治療は、症状が出ている場合には保険が適用されます。自覚症状のない方や、保険診療で個人情報を明かしたくない方、保険組合からの通知を自宅に送付されたくない方は、自由診療での検査・治療が可能です。新宿駅前婦人科クリニックでは患者様のご都合に合わせて、淋病治療を保険診療・自由診療どちらでも承っております。また、即日検査も可能です。ご不明点はお気軽にスタッフにご相談ください。

保険診療
※症状がある場合
約1,200円程度
淋病(腟) 5,500円
即日検査+2,200円
淋病(咽頭) 5,500円

淋病に関するよくあるご質問

淋病の薬は薬局・通販などで買えますか?
A.いいえ。淋病の薬は医師の診断と処方が必要となるため、市販薬の販売はありません。近年はインターネット通販や個人輸入などで「淋病に効く」とする薬を販売するケースも見受けられますが、これらの薬は安全性が確認されておらず、さらに抗生物質に耐性を持った淋菌への効果が不明で、完治する保証はありません。必ず医師の診断の受け、正しい治療を行ってださい。
クラミジアの薬(ジスロマック)は淋病にも効果がありますか?
A.日本感染症学会のガイドラインでは、ジスロマックを淋菌治療の薬剤として推奨していません。ジスロマックは、個人輸入で購入できる例もありますが、服用後に完治したかは医師の診断が必要ですし、自己判断で薬剤を服用するのは大変危険です。
淋病はお風呂でも感染しますか?
A.お風呂で感染する可能性は極めて低いといわれています。しかし、タオルに付着した分泌液や膿で感染する可能性があるため、タオルの共有は控えましょう。
淋病の検査をするには病院の何科に行けばいいですか?
A.淋病は婦人科や性病科、泌尿器科で検査・治療が行えます。新宿駅前婦人科クリニックは、淋病の検査・治療を行っておりますので、気になる症状がある方やパートナーが淋病になったなどでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
淋病の予防方法はありますか?
A.淋病は性行為による感染がもっとも多いため、予防にはコンドームの着用が効果的です。しかし、性行為の最初から最後までコンドームを使用していたとしても、完全な予防は困難だといえるでしょう。淋病は感染率の高い病気として知られています。コンドームの使用はもちろん、日ごろから医療機関での検査を心がけましょう。
淋病の治療中にアルコールを飲んでも大丈夫ですか?
A.いいえ。淋病の治療中の飲酒はお止めください。淋病治療に限らず、アルコールを接種すると抗生物質の効果が弱まるだけでなく、血圧降下をはじめお身体にさまざまな悪影響が現れる可能性があります。抗生物質の服用中はアルコールの摂取はやめましょう。

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