カンジダ症とは
【症状・原因・薬・治療・検査】
カンジダ症は、性交渉の有無にかかわらず、女性ならば誰もが発症の可能性がある、ごくありふれた感染症です。
しかしデリケートゾーンのかゆみや痛み、おりものの変化など、なかなか人に相談しにくい症状であることから、病院に行くのをためらう方も少なくありません。そこで今回は、カンジダの正しい知識とその検査、治療、予防方法などについてくわしくご説明します。
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カンジダ(腟カンジダ)症とは
「カンジダ」とは、性行為や免疫力の低下、ホルモン変化などで発症する病気で、その症状はデリケートゾーンのかゆみや発疹、白っぽいおりもの、排尿時・性交時の痛み、さらには皮膚炎、口内炎などさまざまです。
発症原因はカンジダ菌
「カンジダ」の発症原因は「カンジダ菌」という真菌です。カンジダ菌は、健康な女性でも皮膚や口内、腟などに存在する「常在菌」であるため、「カンジダ症」は女性発症率が高いのが特徴といえます。風邪や疲労、ストレスなどで常在菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が優位になることで、症状を引き起こします。カンジダ菌は健康であれば問題になることはありません。そのため、カンジダは「日和見菌感染症」とも呼ばれます。
性的接触でも発症することはありますが、ほとんどが常在菌による自己感染です。女性ならばおよそ8割が、生涯で少なくとも1回は経験するといわれるほど、誰でも発症する可能性があります。
カンジダアルビカンスとは?
「カンジダアルビカンス」とは、「カンジダ」を引き起こす病原真菌です。普段は人体に害を及ぼすことはありませんが、何らかのきっかけで異常増殖することでカンジダ症の原因となります。
カンジダアルビカンスは成人女性の腟内に15%、妊婦では30%ほど常在しているとされ、風邪や疲労などによる免疫力低下、生理によるホルモンバランスの変化などで増殖することでも知られています。その増殖が原因でカンジダを発症するのです。
性交渉やお風呂でうつる?
カンジダ症の感染経路
カンジダ症は性交渉でうつる病気です。ただし、性交渉をしていなくても「自己感染」することの多い真菌症です。自己感染の原因で代表的なものは、ホルモンバランスの乱れ、抗生剤やピルの服用、デリケートゾーンの蒸れや衛生状態の悪さ、疲れやストレスによる免疫力低下などが挙げられます。
またカンジダは治ったあとに再発することも少なくありません。さらに腟内の常在菌バランスが崩れているため、クラミジアといったほかの性感染症を併発するリスクも高まります。
カンジダの発症・再発要因
カンジダが発症、再発する要因は下記です。
- ・風邪・疲労・ストレスなどによる免疫力低下
- ・生理前後や妊娠時のホルモンの変化によるホルモンバランスの乱れ
- ・抗生剤の服用(常在菌バランスの乱れ)
- ・運動などによる発汗や夏場の蒸れ
- ・性交渉
- ・糖尿病
- ・エイズの原因であるHIVウイルスの感染
- ・湿っている服装や締め付けがきつい下着の着用
カンジダはお風呂でうつる?
カンジダは、お風呂やプールなどで感染することはありません。
しかし、入浴やシャワー時に腟内や外陰部を洗いすぎると、腟内の常在菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が増殖しやすくなってしまいます。またカンジダ菌は高温多湿の環境を好むので、入浴や水泳の後はデリケートゾーンをしっかりと乾かし、治療中の場合はタオルの共用を避けましょう。おりものシートや生理用ナプキンのこまめな交換も忘れずに行ってください。
口腔カンジダはキスでもうつるの?
カンジダ菌は口の中にも常在しているため、カンジダ症はデリケートゾーンだけでなく口腔内(口の中)にも発症します。
口の中のカンジダ「口腔カンジダ」を発症すると、口の粘膜に白い苔のようなもの(白苔/はくたい)が付いたり、口の中が赤くなったりするほか、口の中にヒリヒリとした痛み、味覚障害などの症状が現れます。
カンジダ菌がキスでうつるのか気になるところですが、通常のキス程度であれば、感染リスクはそこまで高くないとされています。しかし、口腔カンジダに感染している場合、特に症状が出ているようなときは、キスは避けたほうがいいでしょう。
女性は注意!腟カンジダの典型症状
腟カンジダの症状はいくつかありますが、なかでも「デリケートゾーンのかゆみ」「白い大量のおりもの」はその典型的な症状です。
またデリケートゾーンのヒリヒリとした熱感や刺激、赤みのある発疹、排尿時や性交時の痛みなどが生じることもあります。
デリケートゾーンのかゆみ
腟カンジダを発症すると、デリケートゾーンに強いかゆみが生じます。腟カンジダのかゆみは非常に強く、夜眠れなくなるほどのかゆみを感じる方もいるほどです。また時には、ズキズキとした痛み(疼痛/とうつう)を感じることもあります。
おりものの色・量が変わる
白いおりもの自体は、生理前の黄体期にもみられる症状ですが、腟カンジダの場合は粘り気のある白いぽろぽろとしたおりものが大量に出るのが特徴です。
おりものの匂いそのものにあまり変化はありませんが、その性状には特徴があり、ヨーグルトや酒粕、カッテージチーズとも表現される白いおりものが大量に分泌されます。明らかにいつもと違うとわかる独特な性状のおりものに気づいたら、早めに受診しましょう。
お尻までかゆくなることも
お尻(臀部/でんぶ)付近に強いかゆみを感じる場合、「肛門カンジダ症」を発症しているかもしれません。肛門カンジダ症は過剰に増えたカンジダ菌がお尻の皮膚に感染することで症状が現れます。
お尻付近の強いかゆみのほか、皮膚が擦りむけている、赤い湿疹が出ている、全体が赤くかぶれてしまっているなどの症状が出ている場合は、一度医療機関で検査することをお勧めします。
男性のカンジダはこんな症状が!
男性がカンジダに感染すると、亀頭や包皮の赤みやかゆみ、排尿時の痛みなどを感じることがあります。ただし、男性の場合はカンジダに感染してもほとんど自覚症状がなく、気付かないまま自然治癒することも少なくありません。
しかし、感染したまま性交渉をしてしまうと、パートナーに移してしまう可能性があるので、少しでも違和感を覚えたら医療機関で検査・治療をしておきましょう。
腟カンジダ以外の症状
増殖したカンジダ菌はデリケートゾーンだけでなく、口の中やのど、皮膚などにも感染する可能性があります。
カンジダはさまざまな部位に感染する恐れがあり、その原因の多くは体調変化による免疫力の低下です。このことから、日々の生活習慣の改善を通じ、予防を心がけるといいでしょう。
口腔カンジダ
「口腔(こうくう)カンジダ」は、口の中に発症するカンジダ症で、高齢者に多くみられます。口の中に白い苔のようなものが付着し、食事の際にはヒリヒリとした痛みが生じたり、味覚が分からなくなったり、苦みを感じたりすることもあります。
カンジダ性口内炎・口唇炎
カンジダ性の口内炎・口唇炎はいずれも「口腔カンジダ」の症状で、口腔カンジダと同じく口の中に白い苔のようなものが付着、口や唇の痛み、味覚障害などが現れます。症状があるときは熱い物や辛い物など、刺激のある食べ物は避けておきましょう。
カンジダ性毛包炎
カンジダ性毛包炎は、ひげ剃りやムダ毛処理などで毛根を包んでいる「毛包」が傷つき、カンジダ菌に感染する病気です。
赤いぷつぷつとした発疹や、膿(うみ)がたまり皮膚が盛り上がるなどの症状が現れ、さらに悪化すると「しこり」になったり、周囲に感染が広がったりする可能性もあります。
カンジダ皮膚炎(皮膚カンジダ症)
皮膚カンジダ症は手足の指の間やワキ、股、乳房の下など、汗がたまりやすく蒸れやすい場所に感染しやすい病気です。「カンジダ性おむつ皮膚炎」はその代表的な症例となります。
感染部位は赤くジクジクと腫れ、その周囲にただれや水ぶくれなどが見られます。また軽いかゆみを伴うことが多く、夏場の感染が増えるのも特徴です。
爪カンジダ(カンジダ性爪炎)
爪のカンジダ症は爪に覆われた指先の柔らかい部分が赤く腫れ、痛みが生じ、完治には半年〜1年ほどかかるといわれています。感染した爪は黄白色に変色し、爪がはがれて落ちる場合もあります。
咽頭カンジダ症(食道カンジダ症)
口から食道にかけてカンジダ真菌が繁殖することで、発症するのが食道カンジダ症です。
食べ物が飲み込みにくい、胸やけがするなどの症状が見られ、進行すると食べ物を飲み込む際に痛みを感じるようになりますが、大半は自覚症状がなく、内視鏡検査でたまたま発見されるケースもあります。
「カンジダの薬とは?」
検査と治療法が知りたい
カンジダは再発用の治療薬が市販されていますが、類似疾患との判別が必要なため、病院で検査を行い、専門家である医師の指導のもと、治療を開始することが大切です。
病院でカンジダの検査をする
デリケートゾーンのカンジダが疑われる場合は、婦人科や性病科、泌尿器科など専門の病院で診療を受けましょう。
女性の場合、腟や外陰部の症状やおりものの状態を調べ、分泌物などを採取し検査を行います。男性の場合は尿道に症状が出ている場合は尿検査、性器に病変箇所がある場合は擦過物(さっかぶつ/こすって出たもの)を採取し検査します。
※なお、当クリニックでは男性のカンジダ検査は行っておりません。症状がある場合には、お近くの泌尿器科・性病科を受診するようにしてください。
カンジダの治療方法
カンジダ症の感染が確認されたら、抗真菌の腟錠や軟膏、クリーム、内服薬などが処方され、これらの薬剤によって治療します。カンジダにはオキナゾール、エンペシド、バリナスチン、フロリードなどのイミダゾール系の抗真菌剤がもっとも有効とされており、新宿駅前婦人科クリニックでもイミダゾール系抗真菌剤を処方しています。また女性の場合、抗真菌剤の処方だけでなく、症状に応じて通院しての腟洗浄も必要となる可能性があります。男性の場合も、イミダゾール系の抗真菌剤の軟膏やクリームを塗布して治療するのが一般的です。
薬の使用中は、抗真菌剤の効果を弱めたり妨げたりする可能性があるため、トイレのビデやタンポン、殺精子剤の使用は控えましょう。またタオルの共有や性交渉は家族やパートナーにうつしてしまう可能性があるので、こちらもやめておきましょう。
カンジダは市販薬で治る?
現在、「カンジダに効く」とされる市販薬が薬局やドラッグストアで販売されています。しかし、これらはすべて「再発」を対象とした商品であり、使用を開始するには初めに医療機関で診断を受けなければなりません。デリケートゾーンの症状となるため、「病院に行くのが恥ずかしい」と市販薬で治そうとする方もいますが、医師の診断のない状態で市販薬を使用してしまうと、場合によっては症状を悪化させる可能性もあります。症状が出た場合は、治療方法を自己判断するのではなく、まずは医療機関で正しい診断を受け、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
新宿駅前婦人科クリニックでは女性のデリケートなお悩みに対しても、親身になって丁寧な診断を心がけておりますので、症状が現れた場合は当クリニックまでお気軽にご相談ください。
カンジダの治療期間
カンジダはその発症部位や症状により治療期間が異なりますが、腟カンジダの場合、抗真菌剤を1週間~10日前後使用することで完治します。爪カンジダのように、部位によっては半年以上かかることもあるため、まずは医療機関でしっかり検査し、治療を進めていくことが大切です。
カンジダは自然治癒する?
放置すると?
カンジダは、症状が軽度であれば、自然治癒することがあります。しかし、放置しても、必ずしも自然治癒するとは限りません。また、感染したまま放置してしまうと、女性の場合デリケートゾーンのかゆみや炎症が悪化し、治りにくくなる可能性があります。男性の場合も患部の痛みといった症状が、悪化する可能性も否定できません。
カンジダの症状が現れたら、まずは医療機関に相談の上受、適切な治療を受けてください。新宿駅前婦人科クリニックでもカンジダ治療を行っておりますので、少しでも症状が現れたら、ぜひ当クリニックまでご相談ください。
妊娠中のカンジダ…放置してもいい?
妊娠中に腟カンジダを発症しても、赤ちゃんへの影響はあまりないとされています。
しかし、分娩時に赤ちゃんが産道でカンジダ菌に感染すると、赤ちゃんの口の中に「鵞口瘡(がこうそう)」という白いミルクかすのような口腔カンジダや、カンジダ皮膚炎を起こすことがあります。
妊娠中にカンジダの感染が確認されたら、出産までに婦人科などでしっかりと完治させておきましょう。
カンジダを毎月繰り返すときは?
カンジダは誰もが体内に保持している「カンジダ菌」の増殖が原因で発症します。完治したとしてもカンジダ菌そのものはその後も存在するため、何らかのきっかけでカンジダ菌が増殖すると、繰り返し何度でも再発してしまいます。カンジダ菌が異常増殖してしまう要因は、ほとんどが疲労やストレス、風邪やホルモンバランスの変調などによる免疫機能の低下によるものです。また通気性の悪い服装やデリケートゾーンの衛生状態も大きな要因の一つとなっています。
日常生活のちょっとした改善でカンジダの発症・再発を予防することができるので、「生理ごとにカンジダになってしまう」といった方は、日々の生活習慣を少しだけ意識するといいでしょう。生活習慣の改善をしても再発を繰り返す場合は、ほかの病気にかかっている可能性も考えられるため、一度医師に相談してみてください。
カンジダは女性ならば誰にでも発症する可能性があり、さらにパートナーなどにもうつしてしまう可能性がある病気です。デリケートな疾患となるだけに医療機関への相談をためらう方も多いですが、新宿駅前婦人科クリニックは、女性ならではのお悩みも親身・丁寧に診療いたします。少しでも異変を感じられた方は、当クリニックへご来院をご検討ください。
膣カンジダが治ったサインは?
以下のような症状が改善されれば、膣カンジダ症が治ったサインと言えるでしょう。
- ・外陰部のかゆみ
- ・おりものの色や形状
- ・性交時の痛み
- ・排尿時の痛み
ただし、これらのサインだけで治ったと自己判断はせず処方された薬を指示通りに服用し、完全に膣からカンジダが除去されるまで治療を継続する必要があります。早期の症状改善は良い兆候ですが、完全な治癒を確認するためには、医師の指導に従い、治療を続けることが重要です。
検査結果はスマホで確認できる!
新宿駅前婦人科クリニックでは、検査のオンライン結果確認システムを導入しております。結果判定後に当クリニックからメールでお送りするURL、または以下からアクセスし、スマートフォン・パソコンで結果をご確認いただけます。お忙しくて結果確認のための来院が難しい方も、ぜひお気軽にご相談ください。
カンジダのよくあるご質問
- カンジダの治療薬を腟に入れた後、出てきたらどうすれば良いですか?
- A.腟錠が溶け崩れた形で排出されたのであれば、特に問題ありません。カンジダ用の腟錠は、内服薬のように体内に吸収されて効果を発揮するのではなく、腟内で溶けて直接カンジダ菌に作用し、効果が発揮されたのち、溶け崩れた状態でおりものと一緒に排出されるからです。挿入したそのままの形や大きさで排出された場合は、一度医師にご相談ください。
- カンジダの治療中にセックスは可能ですか?
- A.いいえ。カンジダは性交渉でも感染しますので、完治が確認されるまで性行為は控えてください。またパートナーもカンジダに感染している可能性があれば、治療の際はパートナーも検査を行い、医師の指示に従ってください。
- カンジダの治療中に入浴しても大丈夫ですか?
- A.はい、大丈夫です。カンジダはお風呂で感染することはないので問題ありません。しかしタオルを介して感染する可能性も否定できないため、タオルの共有はNGです。また入浴時はデリケートゾーンを強く洗うのではなく、軽く洗い流す程度にしておきましょう。
- 生理中にカンジダの薬を使用しても大丈夫ですか?
- A.いいえ。生理中の薬剤使用は衛生上好ましくありません。また薬剤が血液で洗い流されてしまい、十分な効果を発揮できない可能性もあります。生理中はカンジダの薬の使用はお控えください。
- カンジダに効く薬局で買える薬はありますか?
- A.カンジダの市販薬はすべて「再発用」のものであり、購入にはまず医師の診断・治療が必要です。また繰り返し再発する場合は、カンジダ以外の病気の可能性もあります。再発や繰り返すカンジダにお困りの方は、お気軽に新宿駅前婦人科クリニックにご相談ください。
News
お知らせ
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2023/12/18
デリケートゾーンの黒ずみをケアするマヌカピール(ピーリング施術)の取り扱いを始めました。
-
2023/08/29
当クリニックのオンライン診療は「メディカルポスト」として運用する運びとなりました。夜間22時まで診療を行っており、即時予約が可能です。