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経口中絶薬の効果と副作用

Abortifacient

【2023年5月11日更新】
日本でも中絶薬承認

話題の経口中絶薬とは?

2023年4月28日、厚生労働省が「経口中絶薬」の製造販売を承認しました。承認されたのは、ラインファーマ株式会社の「メフィーゴパック」でミフェプリストン、ミソプロストールの2種類の薬剤を同梱したパック製剤です。

ミフェプリストン、ミソプロストールで構成されるパック製剤の承認を受けたのは、オーストラリア、カナダに続いて日本が3番目となります。

この記事の監修医師

新宿駅前婦人科クリニック院長 平川 絵莉子 医師

新宿駅前婦人科クリニック 平川 絵莉子 院長

産婦人科専門医|母体保護法指定医

鳥取大学医学部卒業後、産婦人科医として経験を重ね、2024年8月新宿駅前婦人科クリニック院長に就任。

この記事の監修医師

新宿駅前婦人科クリニック院長 平川 絵莉子 医師

新宿駅前婦人科クリニック
平川 絵莉子 院長
産婦人科専門医|母体保護法指定医

鳥取大学医学部を卒業後、産婦人科医として経験を重ね、2024年8月新宿駅前婦人科クリニック院長に就任。

中絶薬は通販で買える?
どこに売ってるのか?

「中絶薬はどこに売っているの?」という疑問を持つ方も多いのですが、中絶薬は、通販では買えません。売っているところがあるとしたら、それは薬事法および薬剤師法に抵触するため違法です。

2023年5月現在、日本でも厚生労働省に中絶薬の製造販売が承認されていますが、母体保護法指定医の処方が必要な処方薬となり、通販で買うことはできません。もちろん、個人輸入をすることも禁じられています。

また、中絶薬はどこで買えるか、どこで売っているかという点については、薬局等で気軽に購入できるものではなく、必ず母体保護法指定医の処方が必要となります。母体保護法指定医が処方せず、正当に使用されなかった場合、中絶薬での堕胎は、堕胎罪という罪に問われる可能性が高いです。もし、通販で購入できるサイトを見つけても、絶対に購入・使用してはいけません。

厚生労働省も中絶薬の個人輸入を非常に危険な行為とし、注意喚起を行っています。これは、中絶薬による実際に重大な健康被害があった実態を受けて行われているものです。東京都健康安全研究センターでも「自己判断での「経口妊娠中絶薬」の購入・使用はやめてください」と明記しています。

参考:東京都健康安全研究センター|経口妊娠中絶薬に関する注意喚起について

中絶薬(メフィーゴパック)とは?
服用期限はいつまで?

中絶薬は、妊娠9週(妊娠63日)までに内服することが求められている薬剤です。つまり服用期限は、妊娠9週(妊娠63日)までということになります。ここからは、中絶薬であるメフィーゴパックの中絶できる仕組みや効果、飲み方からリスク副作用、失敗率について、くわしく解説します。

中絶薬の仕組みと効果

中絶薬は、ミフェプリストンとミソプロストールの2つの薬剤が用いられます。それぞれ、どのような仕組みで、どういった効果があるのか見ていきましょう。

中絶薬:ミフェプリストン

ミフェプリストンは、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の効果を阻害する働きを持ちます。妊娠を維持する役割を持つプロゲステロンの効果がブロックされると、子宮粘膜が妊娠してない状態にリセットされてしまい、結果的に妊娠が継続できなくなるというわけです。

中絶薬:ミソプロストール

ミソプロストールは、プロスタグランジン製剤の一つで、子宮を収縮させる効果を持ちます。ミフェプリストンの作用によって、妊娠が継続できなくなった子宮内容物を体外に排出させる役割を担うのです。

中絶薬の飲み方

「日本ではいくらになる?」世界の中絶薬値段との比較

中絶薬の飲み方は、ミフェプリストン錠1錠を経口で内服し、その36時間から48時間後、患者様の状態によってミソプロストール錠4錠を30分かけて口腔粘膜から吸収させ、服用を完了するとしています。

2023年1月27日の厚生労働省の記者説明会では、「対象の妊婦=患者は、入院もしくは2回の受診の必要があり、薬剤の服用はいずれも医療機関内にて行うとし、ミソプロストール服用後は入院(院内待機)になる」と説明しました。

つまり、中絶薬は確実に対象者が服用したと確認できる場合にのみ処方できる薬剤でなければならず、厳格な使用が求められているのです。また、入院と外来どちらでも可能としていますが、中絶が確認されるまでは院内で待機することが必須となっています。そのため、当面の間は、入院設備のある病院や診療所のみで使用が認められているのです。

中絶薬のリスクと副作用

中絶薬の副作用をくわしく見ていきます。

副作用 膣からの出血、腹痛、下痢、吐き気、頭痛、めまい、腰背痛 など

中絶薬を使用したときの大きなリスクとして挙げられるのが、膣からの出血です。この出血は、非常に大量になるケースもあり、大量出血を引き起こす可能性があります。さらに、出血量が多い場合には、外科的処置を施さねばならないこともあり、非常に危険な状態に陥る危険性もあるのです。

また、耐え難い腹痛に襲われたり、猛烈な吐き気をもよおしたりするなど、症状が強い副作用が現れることもあります。いずれにせよ、個人の判断で使用することは危険を伴うので避けましょう。

参考:厚生労働省|個人輸入される経口妊娠中絶薬(いわゆる経口中絶薬)について

中絶薬と中絶手術はどっちがいい?値段や日数を比較

ここで中絶薬と中絶手術のリスクも含め、お身体への負担やかかる費用、日数などを比較しながら見ていきます。

中絶薬 中絶手術
費用 薬剤そのものは平均780円とされているが、薬剤内服後の経過観察として、入院費用が数万~数十万に達する可能性がある
  • 【当クリニックの中絶手術】
  • ソウハ法(10週未満)
  • 66,000円(税込)
  • ※一般的に10万~25万円程度が相場
かかる時間(日数) 1種類を内服してから36~48時間後にもう1種類内服し、その後24時間程度かかる 手術そのものは15分程度で、当日の日帰り手術が可能
身体への負担、リスクなど
  • ・出血や腹痛などの副作用が強いという懸念があり、大量出血を起こすと外科手術の適用となるケースがある
  • ・海外では、重篤な感染症による死亡例が報告されている
  • ・約7%の方が予定通りに中絶を完了できなかった日本での治験のデータがある
  • ・手術による後遺症は極めて稀であり、子宮内膜が正常に回復すれば不妊症になるリスクは低い
  • ・一度の手術で妊娠を確実に阻止できる
  • ・適切な麻酔により、手術そのものの痛みを感じることはほとんどない

※2023年2月時点のデータのため、変更される可能性があります

中絶薬

費用 薬剤そのものは平均780円とされているが、薬剤内服後の経過観察として、入院費用が数万~数十万に達する可能性がある
かかる時間(日数) 1種類を内服してから36~48時間後にもう1種類内服し、その後24時間程度かかる
身体への負担、リスクなど
  • ・出血や腹痛などの副作用が強いという懸念があり、大量出血を起こすと外科手術の適用となるケースがある
  • ・海外では、重篤な感染症による死亡例が報告されている
  • ・約7%の方が予定通りに中絶を完了できなかった日本での治験のデータがある

※2023年2月時点のデータのため、変更される可能性があります

中絶手術

費用
  • 【当クリニックの中絶手術】
  • ソウハ法(10週未満)
  • 66,000円(税込)
  • ※一般的に10万~25万円程度が相場
かかる時間(日数) 手術そのものは15分程度で、当日の日帰り手術が可能
身体への負担、リスクなど
  • ・手術による後遺症は極めて稀であり、子宮内膜が正常に回復すれば不妊症になるリスクは低い
  • ・一度の手術で妊娠を確実に阻止できる
  • ・適切な麻酔により、手術そのものの痛みを感じることはほとんどない

このように比較すると、中絶薬は一見、手軽に内服できそうに思えますが、身体への負担、リスクなどを考えると、その使用には十分な考慮が必要そうです。手術というと「怖いもの」というイメージはありますが、日帰り手術で完了する中絶手術の方が、低いリスクで中絶が完了できるようにも見えます。どちらの方法を選ぶのか、患者様のニーズによって変化するといえるでしょう。

また、気になる痛みについては、中絶薬の場合、かなり重い腹痛があるケースが多く、さらには頭痛、腰背痛を合併する可能性が否定できません。中絶手術の場合、適切な麻酔により、手術そのものの痛みを感じることはほとんどありませんが、手術前日に行われる前処置には強い痛みが伴います。このように、痛みについては一長一短といえます。

当クリニックでは、患者様のご負担を考慮し、手術前日に前処置を行わず、手術当日に麻酔をかけた後、子宮頸管を開く処置を行っています。そのため、痛みを感じることはほとんどありませんのでご安心ください。

中絶薬の費用はどのくらい?

中絶薬の費用はどのくらい?

中絶薬の世界の平均卸価格は780円と言われており、高い場合でも1,400円以下とされています。日本で行われる中絶手術が、初期の場合でも10万円以上かかるのが相場だとすると、中絶薬の費用は非常に安いといえるでしょう。

ただし、中絶薬そのものの費用より、入院(もしくは院内待機)による経過観察が必要であることから、入院費用が発生する場合の医療費が高額になる懸念があります。もちろん、中絶薬は自費診療のため、保険は効きません。そうなると、中絶手術を行うよりも費用がかさむ可能性があり、今後も中絶薬費の動向は注視していく必要がありそうです。

※上記は2023年4月時点の情報のため、変更される可能性があります

中絶薬の失敗率

中絶薬の失敗率

中絶薬を内服し、24時間以内に中絶が完了できなかった失敗事例の割合は、およそ7%です。日本国内で行われた18歳から45歳の女性120人を対象とした試験で明らかになっており、24時間以内に人工妊娠中絶が完了した割合は93.3%でした。

つまり、この93.3%以外の方は、中絶に想定以上の時間がかかってしまったか、中絶が確実に完了しなかったか、もしできたとしても、中絶薬の処置だけでは中絶を完了できなかったケースが考えられます。もし、中絶を完了できなかった、高度な医療処置を必要としたケースが約7%にも達するのであれば、大きな懸念点といえそうです。

こうしたいわゆる失敗率、およそ7%の確率を高いとするか低いとするか、意見が分かれるところですが、確実に100%成功するといえないのは、不安材料といえるでしょう。

参考:薬事日報|【英ライン】経口中絶薬を国内申請‐2剤併用、成功率93%

日本での中絶薬承認に
時間がかかったのはなぜ?

2023年4月28日、厚生労働省は正式に経口中絶薬「メフィーゴパック」の製造販売を承認しました。

中絶薬使用の承認が進む海外に比べ、日本での承認が遅れた要因は、倫理的な問題も大きいのですが、そもそも日本は医療技術の質が高く、中絶手術の安全性が高いことが関係しているのです。内服してから経過観察が必須であり、成功率が100%ではない中絶薬に比べ、手術で確実に妊娠を阻止できる中絶手術を行う方が良いとされてきました。中絶手術そのものにかかる時間も15分ほどのため、身体への負担も少ないという考え方です。

さらには、中絶薬が広まることで誤った使われ方が起こる可能性も否定できません。薬は正しく使われなければ、非常に危険なものであり、ましてや人命にかかわることです。今後、経口中絶薬が実際に使用されていくにあたっても慎重に検討が進められていくことでしょう。

正しい情報とリスクを
見極めながらの選択を

日本での中絶は、手術であるソウハ(掻爬)法と吸引法、中絶薬の3種類から選べる日がもう間もなくやってきます。日帰りで行える中絶手術を選ぶのか、入院が必要ではあるものの、内服して排出を待つだけの中絶薬を選ぶのか、それは患者様一人ひとりの判断に委ねられているのです。

中絶は、その方の人生に関わる非常に大きな出来事であり、身体的・精神的に掛かる負担は計り知れません。そんな手術だからこそ、方法の選択肢が増えるのはとても良いことだといえるでしょう。

新宿駅前婦人科クリニックは、経験豊富な母体保護法指定医が安全・確実な中絶手術を行っている医療機関です。手術の方法もソウハ法のみならず、自動吸引法(EVA)と、よりお身体への負担が少ない手動吸引法(MVA)を取り扱っています。予期せぬ妊娠、望まぬ妊娠にお悩みの方に真摯に向き合い、安心安全に中絶ができるよう全力でサポートさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。プライバシーに配慮した環境を整え、お待ちしております。

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